Box 2E 遺伝的モザイクと有糸分裂組換え
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遺伝的モザイクをつくるために最初に行われた方法は、染色体が複製されて、2つの染色体が形成された後、X線を用いて染色体切断を誘発する方法 染色体切断を誘発すると、相同染色体間で交換が引き起こされ、切断が修理される 現在では酵母由来のリコンビナーゼであるFLPと、その標的配列であるFRT配列を染色体上に持つ遺伝的組換えショウジョウバエ系統を用いることで、有糸分裂組換えを誘導できる リコンビナーゼが活性化した結果、FRT配列間で組換えが起こる
有糸分裂組換えは、特有な遺伝子構成を持つ1個の細胞を生じさせ、これはその細胞のすべての子孫に受け継がれる
これはショウジョウバエでは、組織中に明瞭なパッチを形成する
もし、有糸分裂組換えによって、ヘテロ接合体の幼虫においてこの突然変異がホモ接合となる細胞がつくられたら、その細胞の子孫では毛が多くなる
この方法により作製された表皮のクローンは、組換え後の細胞増殖が少ないので、たいてい小さくなってしまう
ここでMinute法を用いることで、より大きなクローンを作製することができる Minute遺伝子に突然変異を持つショウジョウバエの細胞は、野生型の細胞に比べてゆっくりと成長する Minute遺伝子の突然変異をヘテロ接合で持つショウジョウバエを用いると、有糸分裂組換えを起こして標識された細胞は正常となる
これは、この細胞はMinute突然変異を欠いたことで、野生型の細胞になったため
この正常細胞は、もともと成長が遅いバックグラウンド細胞より成長速度が早いため、標識された細胞の大きなクローンを作ることができる
有糸分裂組換えの手法は、様々な用途がある
もし、標識された細胞のクローンを異なる発生ステージで生じさせれば、細胞の運命を追跡することができるし、それらがどのような構造に寄与しているか、観察することができる
これにより、異なる発生段階におけるそれらの細胞の運命決定や分化の状態に関する情報を得ることができる また、この手法はある突然変異がからだ全体でホモ接合型になると致死になるような場合でも、その突然変異のホモ接合の局所的な効果を観察することにも使うことができる